電子計算機を用いて非数値の行列演算や微分方程式の解析的求解, あるいは不定積分の計算などができる. さらには, グラフ処理などのより一般的な記号的演算も実行できる. これらの, いわゆる計算機による数式処理あるいは記号処理は, 物理学の一部の分野では既に不可欠の手段になっており, その重要度は今後飛躍的に増大するものと考えられる. いうなれば, 高等数学を理解するロボットによる計算業務の代行である. 本稿では, 数式処理システムの物理学における著名な応用例を概観しつつ, 計算機による数式処理を解説し, その将来を展望する.