1982 年 37 巻 12 号 p. 986-994
金属を含めて結晶では各原子が規則正しい配列を持つと考えられていたが, 中性子散乱実験を含めた種々の実験手段の進歩と理論による理解の進展によって, 結晶は完全な周期性を持つ静的な秩序正しい世界ではなく, 種々の乱れや変調を含んでいることがわかってきた. ここでは中性子散乱によって見られる固体の金属合金中の乱れや変調の例として, 磁気モーメントに対する静的或いは準静的な乱れと変調及び変調の一種であるフォノンに対する乱れについての実験のいくつかについて述べる. その乱れを通じて, 磁性やフォノンに対する理解を深めたいと思う.