日本物理学会誌
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遷移金属の光電子スペクトルと電子相関
小谷 章雄
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1983 年 38 巻 11 号 p. 853-862

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抄録

光電子分光技術は近年飛躍的な進歩をとげ, 今や固体電子状態の研究の最も有力な実験手段の一つとなっている. これに歩調を合わせて, 理論面でも, 光電子スペクトルに対する電子系多体効果の研究が盛んになってきた. 遷移金属, 特に Ni の 3d 電子状態に対しては, 1970年にバンド理論の常識を破るショッキングな光電子スピン解析実験データが登場して以来, 今日までの間に, 角度分解光電子分光, 共鳴光電子分光など様々な実験と, それに対する理論研究の蓄積がなされた. その結果, 3d 電子状態の実体として, 従来のバンド理論の枠を越えた新しい電子相関描像が確立されようとしている.

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