日本物理学会誌
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電波天文学最近の発展
森本 雅樹
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1984 年 39 巻 5 号 p. 332-339

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抄録

天体の光を分けると七彩のスペクトルに分かれる. そこから天体の温度, 密度運動など文字通り多彩な情報がつかめる. また, 望遠鏡を天体に向けるときれいな写真がうつり, 天体の姿がこまかいところまでうつし出される. 「写真がとれない. 分解能がわるい. スペクトルがとれない」の三つの大きなハンディキャップが電波天文をたよりないものにしていた. 今, ミリ波の分子スペクトルの観測によってはじめて宇宙の低温気相に観測のメスが入り, 開口合成や超長基線の干渉計によって分解能 1"~10-3" の天体の画像が得られるようになった. 低温気相の化学, 星の誕生, 元素の合成, 銀河と宇宙の進化など, ぶつかる問題は山積している.

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