日本物理学会誌
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考古科学,地球科学における電子スピン共鳴年代測定
池谷 元伺
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1984 年 39 巻 5 号 p. 339-346

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抄録

過ぎゆく時にむなしく抗い流されながらも, 変らぬものを求めて歳月を重ねていくのが, 研究者の宿命かも知れない. 私達の履歴や国の歴史も, 記録にない先史時代の生活や生物進化も, 地球や宇宙に起った出来事も, すべては「いつ」という過ぎ去った時で記述される. 過ぎ去った時を告げる科学的手段が, 考古学や地球科学で利用されており, ここに述べる「電子スピン共鳴 (ESR) 年代測定」は, 考古遺物や地質鉱物, 化石類にある自然放射線損傷による不対電子を, ESR で検出する固体物理からの新しい手法である. 自然放射線損傷ではなく, 有機物の分解反応を利用すると加工食品や遺体の経過日数まで判りそうである.

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