1987 年 42 巻 5 号 p. 442-453
加速器を使用しない素粒子実験が最近高エネルギー実験の中で一つのフィールドを占めるようになってきた. その目的とするところは稀現象の観測を通して間接的に超高エネルギーでの素粒子反応を研究することにある. 特に大統一理論を実験的に検証すべく始められた陽子崩壊実験が本格的かつ大規模な非加速器素粒子実験の典型的なものである. 最近ではニュートリノの性質を調べるのに宇宙線による大気ニュートリノや太陽ニュートリノの系統的な観測が行われようとしている. ここでは神岡におけるわれわれのアクティビティを中心として非加速器素粒子実験の現状を紹介したい.