1990 年 45 巻 4 号 p. 241-248
Resonating Valence Bond (RVB) という魅力的な言葉も, それがハイゼンベルク (Heisenberg)反強磁性系において, 何を表現しているかをはっきりさせなければ, 「スピン1/2の正方格子の基底状態(GS)はRVBか?」という質問の無意味となってしまう. 最隣接格子間のRVBではGSは作れない. 一方, 遠く離れた格子点間のRVBをすべて取り入れるとover-completeとなるので, GSを表現するひとつのアプローチとなり得る. しかし, GSの物理的性質(ネール(Neel)的秩序の有無等)を知るには波動関数自体を詳しく調べなければならない. そこで, 様々な形態をしたRVBの幾何学的構造を取り込んだ変分関数を提案する. それは厳密解(有限系の数値解)と驚異的な一致を示す.