1990 年 45 巻 8 号 p. 557-563
半導体のバンド構造に関する情報を得ようとする初期の目的から, サイクロトロン共鳴は建設的に大きく逸脱中. 本来鋭くあってほしい共鳴線-その線幅の広がりから, 輸送現象解明への新たな展望が生れた. 局在中心による電子散乱, とりわけ量子極限での散乱問題など, 提供できる話題に事欠かない. 2次元-3次元電子系の interplay もほの見えた. ポピュラーながら, とかく保守的傾向の強い発光測定も, サイクロトロン共鳴の味付で, 新しい道を歩み始めるかもしれない.