日本物理学会誌
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光合成初期過程を電子スピン共鳴で捕らえる
河盛 阿佐子
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1992 年 47 巻 5 号 p. 368-375

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抄録

光エネルギーによる葉緑体のチラコイド膜上の電荷分離に続く電荷移動は, 電子スピン共鳴で微視的過程を追いかける格好の対象である. 筆者がこの複雑な生体系の研究に着手し, 暗中模索した1980年当初から考えると, いまはこの系が研究材料の宝庫であることを確信するに到った. 電荷の担い手はクロロフィル・ラジカルなどタンパク質に含まれるフリーラジカルや, マンガンなどの遷移金属元素であるが, 観測にかかるスペクトルは実に様々な情報をもたらす, その解読は物性物理の問題を解くことであるが, この種の謎解きの面白さはこの分野がかなり解明されてきた現在でもまだ暫く続くだろう.

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