ラマン散乱はフォノンだけでなくq~0及びブリルアン・ゾーン端のマグノンの磁気励起,超伝導ギャップやマージナル・フェルミ液体的電子状態など高温超伝導体の基本的な励起スペクトルを直接観測することができる重要な実験方法である.またラマン散乱が局所的な構造に敏感なことや,高次の散乱過程であるために入射光のエネルギーを電子遷移のエネルギーに合わせると共鳴を起こすことを利用して,キャリアーの導入による局所的な構造変形やフォノンの非調和性,特定のモードと特定の電子レベルとの相互作用の大きさを求めることができる.これまでに高温超伝導の特徴としてどのようなことが分かったか,その一端を紹介する.