抄録
1995年の夏, コロラド大学のグループがヘリウム以外の中性原子(ルビジュウム87)をはじめてBose-Einstein凝縮(BEC)させることに成功した. MITのグループはナトリウム23のBECを使って原子のパルスレーザーの雛形を実現し, 二つの独立なBECが干渉することを実証した. 更に, ライス大学のグループは引力相互作用をするリチウム7を空間的に閉じ込めることにより, 準安定なBECが生じることを発見した. これは, 引力相互作用をするBose粒子系はBECを起こさないという通説を覆すものであった. これらの実験に端を発したレーザー冷却された中性原子気体のBECの研究は, 原子物理学, 物性物理学・量子光学等の研究者が異分野のアイデアや技法を融合・発展させつつ, 境界領域に位置する新しい研究分野を形成しつつある. 本稿では今なお爆発的な勢いで発展しているこの分野のこれまでの主だった成果を概観し, 現在, 最も注目を集めているトピックスを紹介する.