抄録
半導体技術の進歩に伴って, 超高品質の結晶が要求されるだけでなく, その表面に思い通りの微細な構造を作ることが重要になっている. 走査トンネル顕微鏡の手法を応用して原子一つ一つを並べるのは究極の技術だが, 同じ物をたくさん作ろうと思えば結晶成長の際の自発的構造形成を利用するのが最善の方法であろう. 成長によって結晶表面にμm以下のサイズの構造がどのように形成されるか, その物理的メカニズムを理解することが肝心である. そこには個々の系の興味ある特徴とともに, 各種のパターン形成の現象に通ずる普遍的な様相も見られる. まっすぐだった原子ステップが蛇行をはじめる現象やバラバラなステップが大きな束を作る現象を例に, 規則正しい構造やカオス的な振舞がどのような条件で見られるのかについての理論的研究を紹介する.