日本物理学会誌
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時空特異点と宇宙検閲仮説
中尾 憲一
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2002 年 57 巻 1 号 p. 22-27

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抄録

一般相対性理論によれば, 太陽の数十倍の質量を持つ星は, その進化の最終段階で超新星爆発を経験した後, 自己重力によって, 際限なく収縮する重力崩壊という現象を起こし, 時空特異点と呼ばれる"領域"を形成する.ペンローズ(R.Penrose)によって提案された宇宙検閲仮説は, この時空特異点が観測不可能であるとする仮説だが, これまでの詳しい理論的研究で, 反例と思われる解が次々に見つかってきた.その反例とは, 原理的に観測可能な特異点, すなわち裸の特異点である.本稿では, この裸の特異点が形成される重力崩壊と, そのときに生成される重力波に関する最近の研究を紹介する.

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