日本物理学会誌
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量子情報理論 : 量子効果を使う新しい情報操作とその性能限界を明らかにする理論
佐々木 雅英番 雅司
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2002 年 57 巻 1 号 p. 9-21

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抄録
現在の情報理論は古典物理学の法則に従う媒体に載せられた情報の流れを数理モデルとして抽象化することで成り立っている.しかし, この抽象化は完全ではなく, 情報理論はより基本的な法則である量子力学の下で再構築されなければならない.この方向での研究は60年代にすでに始まり, 90年代に入って急速に進展し始めた.この新しい理論体系, 量子情報理論は, 従来の情報理論を自然な形で包含しつつ, さらに量子効果を使う新しい情報操作とその性能限界を明らかにするための理論である.本稿では, 通信理論の視点からその基本的な考え方と未解決な問題について解説する.
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© 社団法人 日本物理学会
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