2005 年 60 巻 2 号 p. 102-109
セリウムやウラン化合物のf電子は原子に局在していて,伝導電子を媒介にして隣り合うf電子間に磁気秩序を促すRKKY相互作用がはたらく.一方,伝導電子のスピンによってf電子の磁気モーメントが打ち消されるような近藤効果もはたらく.重い電子系は両者の拮抗の中で発現し,局在f電子は低温で有効質量の極めて大きな伝導電子に変貌して結晶中を遍歴するようになる.化合物によっては通常のBCS超伝導とは異なる超伝導現象も見出される.重い電子系の特性温度は小さいので,磁場や圧力によって電子状態を著しく変化させることも可能である.