抄録
ヤマトイモの新品種育成を目的にヤマトイモ×ジネンジョの種間雑種の育成に取り組んだ結果,雑種個体を作出し,その特性を明らかにした.1. ヤマトイモとジネンジョを混植または隣接して栽培し,放任受粉により得られた胚及び胚珠を培養した結果,馴化個体8個を得た.2. 胚及び胚珠培養における培地組成は,ショ糖30g/L,Agar8g/L及びカザミノ酸0.2g/Lを加えたMS基本培地を基本とし,NAA,IAA及びBAの添加の有無及び濃度を変えて検討したが,これら植物成長調節剤の添加による馴化個体獲得の明確な効果は認められなかった.3. 馴化した個体について,フローサイトメトリーにより,実生個体がヤマトイモ×ジネンジョの交雑実生であることを確認した. 4. 馴化後に生育が旺盛だった3系統の特性を調査したところ,葉の大きさ,芋の形状,とろろの粘度において,両親の形質よりも幅広い変異が認められた.さらに,1系統で,ジネンジョよりも高い粘度特性を示した.5. 以上のことから,ヤマトイモ×ジネンジョによる種間交雑育種は,ヤマトイモよりも高品質なヤマノイモの育種に有効な手段であることが示された.