抄録
1. 飼料用米の安定多収栽培技術を確立するために,知事特認品種「アキヒカリ」及び「初星」に,関東地方での栽培に適応性が高いと考えられる多収品種等を窒素肥沃度の異なる県内の2圃場において供試し,温暖地早期栽培における安定多収確保の観点から品種特性を評価した.2. シンク容量が小さい品種や,シンク容量が大きくてもシンク充填率が低い品種は粗玄米重が少なかった.収量に加え,耐倒伏性や脱粒性等の栽培特性を併せて評価した結果,早生・中生品種では「アキヒカリ」,晩生品種では「夢あおば」,極晩生品種では「北陸262号」及び「北陸193号」が,本県の条件で安定して多収が得られると考えられた.3. 有望とした4品種はいずれも耐冷性が弱く,「アキヒカリ」及び「夢あおば」を4月下旬に移植すると,障害型冷害に遭遇する確率が高かった.一方,6月上旬に移植すると「アキヒカリ」,「夢あおば」では倒伏程度の増大が,「夢あおば」,「北陸262号」及び「北陸193号」では籾数の減少が見られた.各品種ともに,安定して多収を得られる移植時期は5月中旬と考えられた.4. 5月中旬移植で,「アキヒカリ」は籾数を42,700粒/m2とすることで660kg/10aの収量が得られると考えられた.「夢あおば」,「北陸262号」及び「北陸193号」は耐倒伏性が強いことから窒素の増施が可能であり,籾数をそれぞれ45,700粒/m2,47,100粒/m2,45,000粒/m2とすることで720~795kg/10aの収量が得られると考えられた.