抄録
近年,温暖化防止対策として再生可能エネルギーであるバイオマス発電の活用が進められている。熱分解ガス化方式のバイオマス発電では副産物として炭(バイオ炭)・凝縮液が生成され,その活用方法が模索されている。一方、寒冷地の農地やゴルフ場等では,融雪期に炭を散布し融雪を促進している。本研究では,北海道札幌市に位置するゴルフ練習場の雪解け期(3月~4月)にバイオ炭を散布し,融雪剤としての有用性及び安全性の調査を行った。調査の結果,バイオ炭は市販融雪剤よりも粒形が小さいため融雪効果が高いこと,土壌への悪影響はないことが確認された。粉末状のバイオ炭の散布は、風の影響や機械の目詰まり等が予想されることから、効率的な散布方法の検討が必要である。また,バイオ炭の農地への散布はJ-クレジットとして認証されおり、融雪剤として散布したバイオ炭を農地に封入してJ-クレジットとして活用する等の方法も検討の余地があると考えられる。