1955 年 46 巻 4 号 p. 523-547_8
本文中に記した各大学および病院の好意によって, 気管支癌の剖検例388と手術例18を集めえたので, それらについて主として形態学的研究をおこなったのが本論交である。まず肉眼的分類をおこない, ついで組織学的には, 扁平上皮癌, 腺癌, および未分化細胞癌に大別し, さらに腫瘍細胞の分化程度と形熊を考慮してくわしく分類した。この詳細は北村によって発表されるが, 仮に低分化性腺癌とよぶ腺癌がかなり多数をしめ, これは従来扁平上皮癌のあるものあるいは未分化癌にいれられていたと考えられる。したがって, ここに集めえた例のうちで充分な組織学的検査をおこないえた369例では, 腺癌36.9%, 扁平上皮癌32.0%, 未分化癌31.4%となり, 腺癌がもっとも多数をしめている。結核との共存は53例にみられたが, その関係について簡単にふれておいた。転移については, くわしい研究が妹尾によって発表される予定であるが, ここでは300例について, 組織像と転移臓器および転移リンパ節との関係をのべた.