Print ISSN : 0016-450X
電子顕微鏡的細胞組織病理学 (III)
マウス自然発生乳癌の電子顕微鏡的研究
鈴木 昭男
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1957 年 48 巻 1 号 p. 39-56_7

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抄録

近年に至りC3Hマウス乳癌発生に際し重要な意義を有する乳因子が Virus 性の性格を示すことが種々の点から確認されてきている。著者はC3H及びDBA両系マウス乳癌細胞を超薄切して電子顕微鏡下に観察し, 両系乳癌細胞中に Virus と考えられる細胞内型及び細胞外型の二種の異常粒子を認めた他, 種々の非腫瘍形成 Virus の感染を示す細胞にしばしば認められる如き各種の変化乃至構造と酷似する電顕像を多数認めこれらについても記載及び考察を加えた。
本研究の結果からすれば, 明らかに悪性腫瘍と考えられるC3H及びDBA両系マウス自然発生乳癌において認められる種々な変化乃至構造は他の各種の非腫瘍形成性 Virus 感染細胞に認められるそれらと全く電子顕微鏡形態学的には区別し得ず, 悪性腫瘍発生と Virus 感染との間に横たわる種々の問題を闡明する上にはなはだ興味ある事実と考えられる。

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