前報において, 粗製のトキソホルモンをメタノール: 醋酸で抽出することにより, 核酸を含まず大部分 polypeptide よりなる分劃が得られ, しかも元の活性がほぼ完全にこの分劃 (TO-分劃) に回収されることを報告した。その後これをさらに次の操作により精製した。
すなわち, ローダミン肉腫より得たTO-分劃を精製粉末セルローズ柱に吸着させ, 1/10N塩酸で溶出することにより1mgでカタラーゼ活性を生体内で低下せしめる分劃が得られた。また Murphy の lymphosarcoma のアセトン乾燥材料をメタノール: 醋酸で抽出し, あらかじめペプシンで消化してから, 上のセルローズ吸着をおこない, 0.5mgでも有効な分劃を得た。次にローダミン肉腫よりのTO-分劃をペプシンで消化しpHを弱アルカリ性としてから, 1/3容の飽和ピクリン酸溶液を加えたところ, 0.1~0.2mgで有効な peptide のピクリン酸塩が結晶として得られた。
この結晶ビクラート中の peptide はチロヂン, トリプトファン, メチオニン, チスチンを除く各アミノ酸をふくみ, その最小単位は32のアミノ酸残基からなることが分った。またペーパークロマトで単一の Spot を示したが, さらに向流分配分析, partition chromato 等によりその均一性の検定と, より一層純化することを考えている。
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