Print ISSN : 0016-450X
コハク酸還元酵素によるTTC還元機構に関する研究
杉村 隆小野 哲生
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1957 年 48 巻 2 号 p. 169-180

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抄録

先にわれわれは, 鳩胸筋より調整したコハク酸酸化酵素は十分に検圧法で活性があるにもかかわらずTTCを還元することができない。そして, それに粗コエンチームA標品を加えるとTTC還元がおこることをみとめ, それをイオン交換樹脂でわけた。
その後その物質を追求する途次に, また別の新事実を見出した。
等電沈澱をくり返した鳩胸筋コハク酸酸化酵素はコエンチームA標品を十分加えてもTTC還元がおこらなくなるがこれに, ラット肝の上清分劃中の蛋白を加えると十分なTTC還元が起るようになる。すなわち, コハク酸を基質とした, コハク酸酸化酵素によるTTCの還元には未知の助酵素のほかに, 肝上清にふくまれる蛋白成分が必要なのである。
同様のことがラット肝のミトコンドリアをコハク酸酸化酵素として用いた場合にもみとめられた。鳩胸筋のコハク酸酸化酵素を用いると, この末知助酵素または, 蛋白成分を Rate limiting になるような system を作ることができる。
また還元したチトクロームcを加えるとラットモジエネートでもTTC還元がおこること, この場合もミトコンドリアでは十分TTC還元がおこらないことをみとめた。メチレンブルーを加えるとコハク酸を基質としたTTC還元は促進されるがこれはチアン阻害を受け難い。メチレンブルーを加えない時にはチアン阻害は著しい。
以上からコハク酸酸化酵素によるTTC還元には助酵素のほかに肝上清中の蛋白の必要なことおよび, TTCがチトクローム酸化酵素のレベルで共軛する可能性を考察した。

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