1957 年 48 巻 2 号 p. 181-188
ヂメチルアミノアゾベンゼン (DAB) を一カ月投与した白鼠肝の脱脂粉末より, 高度に精製されたアミノ酸と結合した色素体の抽出法を研究した。放線菌培養液より作られる強力プロテアーゼで予め肝蛋白を水解し, ブタノール抽出, 醋エチ洗滌を行ったのちIRC-50 (H型) でカラムクロマトを行うことによって高度に精製された含アミノ酸色素体を容易にうることができる。このものをさらにアルカリで処理すると, 恐らくアミノ酸一個と結合したと考えられる色素体を得る。このものについて, 吸収スペクトル, 変色pH領域, 酸性における安定性, DNP-化に対する挙動等の性質を調べた結果, 並びにアミノアゾ色素, アミノ酸及びフォルマリンより合成的に作られる類似化合物の性質を比較した結果, 色素と結合したアミノ酸としてチロシンがもっとも可能性が多いことを結論した。