Print ISSN : 0016-450X
皮膚癌の放射線治療成績
塚本 憲甫北川 俊夫
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1958 年 49 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

われわれは1946年より1955年までの間に治療した皮膚癌の155例を, 一般性状の特に興味ある2, 3の事項について分析するとともに, 主として放射線治療成績を対象として検討を行った。すなわち
1. 誘因としては火傷, 創傷が最も多く, 身体の露出部に発生率が大であり, 眼瞼, 口唇にては下部のものに特に多く発生している。
2. 組織学的には, 欧米では基底細胞癌が最も多いのに対し, 扁平上皮癌が最も多く, また基底細胞癌が最も予後がよい。
3. ラジゥムを用いての治療の場舎は3~5週日に, 平均8000rを腫瘍に与えるのが最適と考えられる。
4. 皮膚癌は体表に存在するため治療が比較的容易である如く考えられるが, 現在のわが国においては, 欧米の報告にあるものよりも, 初診時すでに臨床進展の進んだものが多いので, その治療はなお楽観を許さないものがある。

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