Print ISSN : 0016-450X
キノリン誘導体の癌原性と化学構造との関係
中原 和郎福岡 文子酒井 純雄
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1958 年 49 巻 1 号 p. 33-42

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抄録

4-Nitroquinoline N-oxide が極めて強力な癌原性を有することは前報に発表した。今回はそれに近似の8種の誘導体について発癌実験 (簡井法) を行い, 化学構造と癌原性との関係を検討し (1) 4-nitroquinoline N-oxide の2 (あるいは6) 位にCH3, C2H5あるいはCl基を導入しても物質の癌原性に大なる変化は起らないが, (2) 4位のNO2基と1位のO原子とは絶対必要で, そのいずれかを欠くと癌原性が失われることを見出した。
このような簡単な二核化合物の強力な癌原性が, このNO2基とO原子とによって規定されているという知見は, われわれの展開しつつある発癌機構論の具体的な出発点を成すものである。

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© 日本癌学会
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