日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌
Online ISSN : 2189-9568
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3種類のタスク(語義選択、文完成、短作文)による語彙学習:日本語を母語とする第二外国語としてのスペイン語学習者を対象とした研究
Alicia San-Mateo-Valdehíta
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 34 巻 p. 51-68

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抄録

本稿は、首都圏大学等10機関でスペイン語を第二外国語として学習するB1-B2レベルの日本語を母語(L1)とする学生178名を対象に実施した語彙学習に関する研究の結果を紹介するものである。本研究の目的は、(1) 3種類のタスク(語義選択、文完成、短作文)の中でより効果的なものを明らかにし、関与負荷仮説 (Hulstijn & Laufer, 2001)、手法特徴分析 (Nation & Webb, 2011) の2つの枠組みの予測可能性を確認すること、(2)本研究で得られた結果を、27の異なるL1を持つ1317名を対象に実施した先行研究 (San-Mateo & Andión, 2019) の結果と比較することである。分析の結果、2つの枠組みで認知的負荷が高い産出活動とされる短作文を行った学習者は、語義選択を行った学習者よりも、より多くの単語を記憶し、受容および産出テストの得点が有意に高かった。一方、2つの枠組みによっても認知的負荷が低いとされ、受容的な知識のみが必要とされる語義選択を行った学習者は、記憶している単語数は少なく産出活動の得点も低かった。この結果は、他のL1を持つ学習者を対象とした研究の結果と一致した。

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© 2023 日本・スペイン・ラテンアメリカ学会
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