キャリア・カウンセリング研究
Online ISSN : 2436-4088
原著
役職定年者の新たな役割への再適応プロセスと次のキャリアへの模索プロセスの探索的検討
須藤 章岡田 昌毅
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 23 巻 2 号 p. 65-78

詳細
抄録

本研究の目的は,役職定年者を対象に,役職定年後の新たな役割に対する再適応プロセスと,次のキャリアに対する模索プロセスを明らかにし,両プロセスがどのような影響関係にあるのかを探索的に検討することである。大手製造業に所属する役職定年者17名を対象に1年間にわたる縦断的半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析を行った。その結果,56個の概念,4個のサブカテゴリ,15個のカテゴリ,8個のカテゴリグループが生成された。主な知見は以下の通りである。役職定年者は,役職者としての過去の経験,役職定年後の現在の新たな役割,そして模索する次のキャリアへと思考や感情を行き来させながら,次のキャリアの再形成を図っている。そして,過去,現在,未来という時間的展望の中で最も重要なものは,役職定年後の現在の新たな役割であり,現在の新たな役割で自己の価値を再認識することが次のキャリア形成への原動力となっている。しかし,役職定年が会社や組織への想いを否定的なものにし,働く意欲やキャリア形成を減退させている可能性もある。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本キャリア・カウンセリング学会
次の記事
feedback
Top