白内障手術による運動機能と睡眠の改善効果について検討したので報告する.倫理委員会の承認のもと, 対象は研究の同意を得た白内障患者226名と視覚障害模擬患者11名である.方法は4メートルの歩行速度と睡眠の質(PSQI値=ピッツバーグ睡眠質問票)と生活の質(VFQ-25)を術前と術後2カ月, 7カ月に測定した.その結果, すべての指標が有意に増加し, 白内障手術により睡眠と歩行の質が改善することが示された.さらに, 視覚障害模擬患者による実験から, 視覚障害と歩行速度が相関することが示された.白内障は高齢者には必発の病気であり, 白内障の予防, 診断, 治療の進歩は高齢者の健康長寿に寄与すると考える.