日本白内障学会誌
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日本白内障学会学術賞(基礎)
  • 森下 英晃
    2022 年 34 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/19
    ジャーナル 認証あり

    水晶体細胞の最終分化過程では,ミトコンドリア,小胞体などのすべてのオルガネラがオートファジー非依存的に分解されるが,その分子機構や生理的意義は長らく不明であった.最近筆者らは,この大規模オルガネラ分解は,リン脂質の分解を担うphospholipase A and acyltransferase(PLAAT)ホスホリパーゼによること,その作用はマウス,ゼブラフィッシュのいずれにおいても水晶体の透明化に必須であることを見いだした.PLAATホスホリパーゼはオルガネラ分解前にはサイトゾルに存在しているが,熱ショック転写因子HSF4依存的にオルガネラ膜が損傷を受けると,損傷膜へと移行し膜を分解することも明らかにした.本研究により,水晶体の新たな透明性獲得機構が解明されるとともに,脊椎動物にはオートファジーによらないオルガネラ分解機構も存在することが初めて明らかになった.

総説
《特集 1》合同シンポジウム「白内障研究者・術者が今知っておきたい最新情報」
《特集 2》白内障学会シンポジウム「白内障手術のアンメットニーズを探る」
《特集 3》水晶体研究会シンポジウム「過去研究のDiscoveryと私の水晶体研究」
原著
  • 後藤 涼花, 山田 茂裕, 馬地 一稀, 竹中 晴菜, 平松 範子, 山本 直樹, 佐々木 洋, 長井 紀章
    2022 年 34 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/19
    ジャーナル 認証あり

    筆者らはこれまで,薬物ナノ結晶分散液を点眼薬として適用することで,従来の溶液型製剤に比べ高い滞留性,眼内移行性が得られることを報告してきた.本研究では,Ca拮抗薬ニルバジピン(NIL)のナノ結晶製剤化(NIL-NPs)を試みるとともに,本分散液の糖尿病由来水晶体障害に対する治療効果について評価した.メチルセルロースやシクロデキストリンといった添加物と湿式ビーズミル法を組合わせることで,高い分散安定性を有する平均粒子径76 nmのNIL-NPsが作製できた.さらに,ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病モデルの水晶体構造異常に対するNIL-NPs点眼の有用性を評価したところ,STZ処理2週間後の水晶体では組織内空隙といった水晶体構造異常が認められたが,NIL分散液点眼により,これら構造異常は軽減した.また,NIL-NPs点眼群では,NIL-MPs点眼群に比べ高い水晶体構造異常の抑制が認められた.

  • 鳥羽 良陽, 木澤 純也, 菊地 菜津, 黒坂 大次郎
    2022 年 34 巻 1 号 p. 66-70
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/19
    ジャーナル 認証あり

    目的: Barrett TK Universal II式(Barrett TK式)の術後屈折値の予測誤差(予測誤差)に関連する因子について検討すること.対象と方法: 2019年12月~2021年7月に,岩手医科大学附属病院眼科にて水晶体再建術を施行した202例202眼(平均年齢73.1±9.6歳)を対象とした.予測誤差を算出したあとに,予測誤差を目的変数とし,年齢,性別,角膜屈折力,角膜乱視,前房深度,眼軸長,水晶体厚,角膜横径,眼内レンズ(IOL)の種類を説明変数として重回帰解析を行い検討した.結果: 予測誤差の算術値の平均は0.05±0.36Dであった.予測誤差と有意な関連因子は眼軸長であった(標準偏回帰係数: β=−0.2337,p=0.016).結論: Barrett TK式は,眼軸長が予測誤差の関連因子であり,眼軸長が長くなると術後屈折値が近視側へシフトしやすい計算式であることが示唆された.

  • 澤野 宗顕, 大沼 一彦, 永田 万由美, 松島 博之, 妹尾 正
    2022 年 34 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/19
    ジャーナル 認証あり

    目的: 低加入度数分節眼内レンズLS-313 MF15(以下,LS)挿入眼に眼瞼下垂や皮膚弛緩症を合併した際の網膜像変化について検討する.方法: 光学計算ソフトを使用し,LS固定方向と上眼瞼による遮蔽の程度を変えた際の網膜像をシミュレートした.結果: 遠用ゾーン上方固定では遠用ゾーン遮蔽により遠方の画質は低下した一方,中間・近方ではボケ像抑制と中間ゾーンへのピンホール効果で画質は向上した.遠用ゾーン下方固定では中間ゾーン遮蔽により中間・近方の画質は低下した一方,遠方の画質は向上.横固定では遠方・中間・近方ともに,遮蔽の進行に伴い画質は低下した.結論: 眼瞼下垂や皮膚弛緩症などの上方からの瞼裂の狭小化を伴うLS挿入眼の網膜像は,眼内レンズの固定方向と遮蔽程度の変化に伴う「レンズ開口面積の減少による網膜像低下」と「ボケ像抑制による網膜像向上」「ピンホール効果による焦点深度拡張」の影響を受け,不規則に変化する可能性が示唆された.

  • 武田 峻, 山本 直樹, 長井 紀章, 出口 粧央里, 平松 範子, 初坂 奈津子, 永田 万由美, 松島 博之, 久保 江理, 佐々木 洋
    2022 年 34 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/19
    ジャーナル 認証あり

    核白内障(nuclear cataract: NUC)の発症要因として,高温環境による影響が報告されている.今回,体温に着目し,水晶体再建術施行例を対象とし,体温とヒト水晶体上皮細胞(human lens epithelial cells: HLECs)中ミトコンドリア活性およびATP含量の関係,体温とNUC発症リスクの関連について検討した.NUC患者では体温36.5℃以下患者(L群)に比べ36.5℃超過の患者(H群)でHLECs中のミトコンドリアゲノムチトクロムcオキシダーゼmRNA発現量は増加傾向を示した.また,H群におけるATP量はNUC患者が透明水晶体患者に比較し高く,NUC患者ではL群より有意に高値を示した.一方,ロジスティック回帰分析によるL群に対するH群のNUC発症リスクのオッズ比は1.131(95% 信頼区間: 0.583-2.193)であり,有意な関連性は認められなかった.

外国誌要覧
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