日本白内障学会誌
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原著
体温がヒト水晶体中ATP産生に与える影響と核白内障発症への関与
武田 峻山本 直樹長井 紀章出口 粧央里平松 範子初坂 奈津子永田 万由美松島 博之久保 江理佐々木 洋
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2022 年 34 巻 1 号 p. 76-82

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抄録

核白内障(nuclear cataract: NUC)の発症要因として,高温環境による影響が報告されている.今回,体温に着目し,水晶体再建術施行例を対象とし,体温とヒト水晶体上皮細胞(human lens epithelial cells: HLECs)中ミトコンドリア活性およびATP含量の関係,体温とNUC発症リスクの関連について検討した.NUC患者では体温36.5℃以下患者(L群)に比べ36.5℃超過の患者(H群)でHLECs中のミトコンドリアゲノムチトクロムcオキシダーゼmRNA発現量は増加傾向を示した.また,H群におけるATP量はNUC患者が透明水晶体患者に比較し高く,NUC患者ではL群より有意に高値を示した.一方,ロジスティック回帰分析によるL群に対するH群のNUC発症リスクのオッズ比は1.131(95% 信頼区間: 0.583-2.193)であり,有意な関連性は認められなかった.

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© 2022 日本白内障学会
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