脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌)
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シンポジウム13 頭痛とてんかん・うつの脳循環代謝(頭痛学会・てんかん学会とのjoint)
乳幼児重症てんかんの診断における脳循環・代謝検査の有用性―岡山大学病院てんかんセンターの半球離断術の症例を中心として―
小林 勝弘上利 崇佐々田 晋秋山 倫之岡 牧郎遠藤 文香吉永 治美伊達 勲
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2015 年 26 巻 2 号 p. 163-168

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抄録

要旨 乳幼児期に発症する重症てんかんの多くは,激しいてんかん性脳活動のために認知・行動発達の遅滞・障碍を来すてんかん性脳症となる.脳形成異常はその主要な原因であり,これに伴うてんかんは難治のため脳機能に可塑性がある乳児期の間の外科治療が推奨されている.乳幼児のMRI はコントラストが乏しく判読が難しいため,PET とSPECT とくにSPECT で発作時のデータから発作間欠時のデータを差し引いてMRI に重ね合わせるSISCOM(Subtraction Ictal SPECT CO-registered to MRI)が発作焦点の同定において有用である.岡山大学病院てんかんセンターで乳幼児期に半球離断術を行った重症てんかんの8 症例 (初回手術時年齢:生後2 カ月~2 歳,平均9.9 カ月)の中,MRI 所見の不明瞭な2 例ではSISCOM が病変同定のために有効であり,PETも効果を発揮した.これにより乳幼児のてんかん外科治療における脳循環・代謝に関わる機能神経画像の有用性が実証された.

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© 2015 日本脳循環代謝学会
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