要旨 脳梗塞における血液バイオマーカーは,診断や予後の予測,今後の個別化医療において有用である可能性がある.これまで多数のバイオマーカー研究の成果が報告されているが,実際に臨床応用されているものは少ない.われわれは,脳梗塞バイオマーカー探索研究(REBIOS)により,VEGF は心原性脳塞栓症では機能予後不良に関連するのに対し,アテローム血栓性梗塞ではむしろ機能予後良好に関連する傾向を認めることを明らかにした.このように臨床的な意義が病型により異なることは,臨床応用が困難な要因の一つと考えられる.これまでのバイオマーカー研究の問題点として,研究サイズが小さいこと,基準値が不明瞭であることも指摘されており,今後は大規模な研究サイズでの検証が必要である.さらに多くの知見が集積されることで臨床に有用なマーカーが出現することに期待したい.