2017 年 28 巻 2 号 p. 291-295
ニューロイメージングを用いた研究知見に基づくことで,うつ病の脳病態の精緻な理解や,可視化された脳病態に直接的に焦点をあてた新たな介入方法の開発につながる可能性が示唆されている.うつ病患者において,一貫して報告されている脳機能画像所見として,(1)外側部,眼窩部,内側部からなる前頭前野領域と,(2)扁桃体や海馬をはじめとした辺縁系領域における機能不全が挙げられる.これらの脳病態に対して有効性が期待される神経行動的(神経認知的)介入方法には,注意訓練や認知バイアス修正法,マインドフルネス瞑想などが考えられる.うつ病の生物学的メカニズムをターゲットにしたこのような介入方法は,治療効果の増大や適用範囲の拡大につながることに加え,容易・簡便に実施できるといった様々な可能性を有することが期待される.