2018 年 30 巻 1 号 p. 1-10
本研究の目的は,2分吸入キセノンCTにより,従来施行されてきた4分吸入に匹敵する脳血流量(cerebral blood flow: CBF)画像が得られることを示すことである.75歳以上で連続8人の受診患者を対象に,2分吸入キセノンCTを実施した.撮影は,基底核および側脳室断面とした.30%キセノンの吸入は2分間,洗い出しは3分間とした.断面周辺に一定数の円形関心領域(ROI)を隣接配置しCBFを求めた.4分吸入/4分洗い出し(従来法)で得た,アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease: AD)患者のCBF範囲(AD範囲)と,健常者のCBF範囲(正常範囲)を利用し,ROI分布値(AD範囲内ROI数-正常範囲内ROI数)を求めた.従来法で得たROI分布値の最適カットオフ値を利用すると,正常と診断された患者(1人)は“正常”と同定され,ADと診断された患者5人のうち4人が“AD”と同定された.従来の最適カットオフ値が有効であったことから,2分吸入によるCBF画像は,従来の4分吸入によるものに近い局所(平均)定量値を有すると考えられた.