脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌)
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症例報告
頭部外傷後に中枢性塩類喪失症候群を呈したと考えられる3 症例
山田 英忠向井 智哉棚橋 梨奈荒木 睦子仲 博満時信 弘
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2018 年 30 巻 1 号 p. 83-87

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抄録

【はじめに】中枢性塩類喪失症候群は頭部外傷やくも膜下出血後に低Na 血症と脱水を来す疾患群である.今回,それぞれ異なる主訴と受診経緯で来院した3 症例を経験したため報告する.【症例】症例1, 2 は意識障害と水頭症精査のために受診した86 歳女性,83 歳男性である.いずれも低Na 血症,低尿酸血症,外傷後の閉塞性水頭症を認めた.症例3 はめまい,嘔気にて受診した51 歳女性である.低Na 血症,低尿酸血症を認めた.外傷歴,検査所見よりいずれも中枢性塩類喪失症候群と診断した.【考察】中枢性塩類喪失症候群の機序は不明な点が多いが,Na 利尿ペプチドによる近位尿細管でのNa,尿酸,水の再吸収抑制との関連が指摘されている.循環血漿量減少にもかかわらず,低尿酸血症を認めることが特徴的である.【結語】頭部外傷後に進行する低Na 血症では本疾患を積極的に疑い,低尿酸血症の確認,低Na 血症,脱水の補正が必要である.

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© 2018 日本脳循環代謝学会
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