Chem-Bio Informatics Journal
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Circular permutationを取り扱うことのできる構造局所アラインメント
廣池 隆明藤 博幸
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2001 年 1 巻 3 号 p. 103-114

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抄録

蛋白質の立体構造の局所的な類似を見い出す手段として、構造局所アラインメントと呼ばれる手法がある。この手法は、各残基の立体構造中における相対的な位置(構造環境)の類似度を評価することにより、局所的に類似した構造を持つ残基間に対応づけ(アラインメント)を行う方法である。構造局所アラインメントには、Orengo & Taylor(1993)により開発されたdouble dynamic programming algorithmを利用した方法がある。しかし、彼等の手法では、ある残基は、構造環境とよばれるその残基のβ炭素から他の全ての残基のβ炭素へのベクトルの集合で表現され、その集合の要素は、ベクトルの向く先の残基の一次構造上の残基番号に従い順序付けられている。この構造環境に基づく類似性の評価は、その表現における1次構造上の順序依存性のため、circular permutationによる配列の入れ替わりによって生じる局所的な類似構造の検出は困難であると考えられた。そこで、我々はcircular permutationにより生じた局所類似性も取り扱えるように、各残基の構造環境をcircular permutationに不変になるように構造環境を再構築し、double dynamic programming algorithmによる構造局所アラインメントの適用できる範囲を拡張した。

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2001 Chem-Bio Informatics Society
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