Chem-Bio Informatics Journal
Online ISSN : 1347-0442
Print ISSN : 1347-6297
ISSN-L : 1347-0442
Original
蛋白質立体構造のデノボ予測のための構造評価におけるフラグメントスコア法
Cetin Hikmet佐々木 尚笹井 理生
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 11 巻 p. 63-81

詳細
抄録

蛋白質の立体構造をそのアミノ酸配列から予測することは,バイオインフォマティクスの重要なテーマである。しかし,既知の構造を持つ蛋白質と類縁関係にない標的蛋白質の構造を予測するデノボ予測に関しては,信頼のおける予測法が確立されていない。デノボ予測を改善するひとつの方法は,予測されたモデル構造がどれくらい正しい構造に近いかを,正しい構造が判明する前に評価して候補構造を探し出す,構造評価法の活用である。この論文では,デノボ予測に適した新しい構造評価法として,フラグメントスコア法を提案する。この方法では,蛋白質の構造ライブラリから,ある長さを持ったフラグメントを集め,モデル構造の局所部分を評価し,その評価を総合して蛋白質構造全体の評価とする。フラグメントスコア法は,第7回および第8回CASPに出題されたデノボ予測のための標的蛋白質のうち,予測が困難なものについて,よいモデル構造を選択するために役立つことが示される。また,フラグメントスコア法は標的蛋白質におけるループやコイルなどの不規則構造について,よいモデル構造を選ぶために役立ち,さらに,配列ではわずかな違いしかないのに構造が大きく異なる2つの蛋白質を区別する能力も持つ。このように,フラグメントスコア法は鋳型構造の用意できないデノボ予測における予測法の改善に役立つほか,鋳型構造が使える場合でも,そのうちの難しい構造の解析のために効果的である。

著者関連情報
2011 Chem-Bio Informatics Society
前の記事
feedback
Top