Chem-Bio Informatics Journal
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神経保護作用を有する柑橘類由来3, 5, 6, 7, 8, 3’, 4’-ヘプタメトキシフラボンのヒト血清アルブミンへの結合
垣内 綾乃伊藤 志穏奥山 聡古川 美子水間 俊
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2017 年 17 巻 p. 103-109

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抄録

柑橘類に含有する3, 5, 6, 7, 8, 3’, 4’—ヘプタメトキシフラボン (HMF)は、脳神経栄養因子産生促進や抗炎症作用を持つことが報告されているが、その体内動態は不明である。そこで、HMFの体内動態に関する最初の研究として、ヒト血清アルブミン(HSA)への可逆的結合性について検討した。その結合実験およびさらなるHMFの体内動態研究のために先ず、簡便なHPLC測定法を確立した。UV検出器を備えたHPLCシステムと定組成の移動相溶媒を用いた。測定(分析)単位内の真度は、1から100μMのHMF濃度において、97.2 から101.6%であり、精度は1.60%以下であった。また、測定(分析)単位間の真度は、1から100μMのHMF濃度において、97.1 から104.5%であり、精度は2.24%以下であった。HMFのHSAへの可逆的結合は平衡透析法により検討した。4.6%HSAへのHMFの結合率は、HMF濃度の上昇にともない、約70% から 55%へと減少した。この可逆的結合の濃度依存性は、HSA分子上にHMFの特異的結合部位があることを示唆している。本研究で確立したHPLC測定法は、現在、腸管吸収などのHMF体内動態研究に使用している。

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