Chem-Bio Informatics Journal
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マルコフモデルを用いた, 大腸菌由来の6遺伝子のDNA 配列の解析とその立体構造との関連性の解析
大福 裕子田中 秀夫上林 正巳
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2002 年 2 巻 4 号 p. 119-136

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抄録

進化の過程で生じた機能性タンパク質の立体構造はそれまでに存在していた各立体構造部品が集められ、新しい機能を創り出したという仮説をたてた。その仮説を立証するために、X線結晶構造解析により立体構造が決定され、その立体構造がマルチドメインで構成される大腸菌の6遺伝子、Flavodoxin reductase, Flavin oxidoreductase, Integrase/recombinase xerD, Endonuclease ?, Heat shock protein (grpE), Elongation Factor Tu (tufB)を選んだ。それらのDNA 配列を対象に、マルコフモデルを用いて得られた確率を解析し、領域にわけた。Borodovsky M.らによってマルコフモデルを用いて大腸菌のClass?遺伝子群(大腸菌中の水平移動遺伝子群)から作成された3次マトリックスで、プログラムGeneMarkを用いて確率を計算した。この確率は、マトリックスを作成する際に用いられた遺伝子群の示すDNA配列への相似性を示すものである。更に言えば、その確率が高ければ、マトリックスを作成する際に用いられた遺伝子群の特徴を持っている可能性が高いといえる。すなわち、マルコフモデルを用いて得られた確率によって分けられた領域は、起源の違いを示す可能性があることを示している。  Flavin oxidoreductase を除く5遺伝子に関しては、分けられた領域と、CATHのクラス、アーキテクチャー、トポロジーに基づいて分類されたドメインが対応した。すなわち、起源の違いを表している可能性がある、この分けられた領域と、立体構造の部品構造の領域と関連性があることが明らかになった。  進化の過程で生じた機能性タンパク質の立体構造はそれまでに存在していた各立体構造部品が集められ、新しい機能を創り出したという仮説を、機能性たんぱく遺伝子のDNA配列を用いて明らかにすることができた。

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2002 Chem-Bio Informatics Society
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