循環制御
Print ISSN : 0389-1844
原著
心臓外科手術患者の肺高血圧に対するミルリノン持続静注の効果
安部 和夫岡 淳子船津 俊宏竹内 麦穂福田 宏嗣藤井 謙司
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2004 年 25 巻 4 号 p. 378-381

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抄録

 全身麻酔導入後に肺高血圧症(平均肺動脈圧 30mmHg以上)を呈した心臓外科手術20症例について,ミルリノン 0.5μg/kg/分を持続静注し,その薬剤の循環動態に与える影響を検討した.20症例のうち6症例は投与開始後に収縮期血圧が30%以上低下したので投与を中止し,残りの14症例でデータを収集した.ミルリノン開始前平均血圧は76±13mmHgから開始後30分で67±11mmHgと有意に低下した.心拍数は開始前79±23rpmであったのが開始後30分で98±20rpmと有意に増加した.心拍出量は開始前3.4±1.4L/分だったが30分で4.9±2.6L/分と有意に増加した.混合静脈血酸素飽和度は開始前69±14%だったのが15分で74±13%と有意に上昇した.平均肺動脈圧はミルリノン開始前34±12mmHgだったのが開始後30分で29±11mmHgと低下傾向を示し,開始後30分では23±3mmHgと有意に低下した.肺血管抵抗は開始前440±112dyne/sec/cm-5から開始後30分で194±56 dyne/sec/cm-5と有意に低下した.以上より,ミルリノンは心臓手術中の肺高血圧に有用であるが,体血圧の低下に注意が必要であることが示唆された.

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© 2004 日本循環制御医学会
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