2022 年 43 巻 1 号 p. 14-19
冠動脈拡張症(CAE, coronary artery ectasia)は冠動脈の血管径が正常の1.5 倍以上に拡張した状態と定義される1)。CAE は冠動脈造影を受けた患者の1 ~ 5% に認められ、3:1 で男性に多く、Marfan 症候群、川崎病、血管炎との関連が報告されているが、冠動脈中膜に及ぶ動脈硬化性疾患が原因として最も多いとされる2)。CAE の40〜60% に急性心筋梗塞が発症するとされているが、補助循環を含めた急性期の治療法や一次、二次予防に関するエビデンスは確立していない。今回、急性心筋梗塞を発症し冠動脈インターベンションに難渋したCAE の2 症例を経験したので報告する。