抄録
歯科麻酔専門医が歯科処置中にバイタルサインのモニタリング(モニター管理)を行った高齢患者について、併存疾患の数と種類、循環器系合併症の発症頻度を明らかにするために、過去3 年間の麻酔記録をもとに本調査を行った。高齢患者一人あたりの平均併存疾患数は2.9 で、循環器系疾患が最も多く、高血圧に最も多く罹患していた。当日、循環器系のバイタルサイン異常を認め処置を延期した頻度は1.8%(614 例中11 例)であった。処置中の循環器系合併症発生率は0.3%(2 例)で、いずれも循環器系併存疾患を有していた。循環器系併存疾患を有する高齢患者の歯科処置では、循環器系合併症発症の危険性に注意を要する。