抄録
環境因子としての底質処理が生態系群集構造に及ぼす影響について, 生態系モデルであるマイクロコズムを用いた実験的検討を行った。その結果, 底質処理により底泥中の硫化物と水中の植物プランクトンを同時に抑制可能であること, T-N/T-P比は調和型湖沼とされる10付近となること, アオコが優占している富栄養化湖沼の生物群集を貧栄養状態の生物群集構造に改善できることを示し, 環境因子としての底質処理が生態系群集構造に大きな影響を及ぼしていることを明らかにした。また, 環境修復の手段として, 底質改善は有効であるが, 環境要因としての影響の大きさを考慮すると, 生物種の多様性のレベル設定が必要であることを示した。