抄録
中国には、主に長江、黄河、淮河、海河、遼河、松花江、珠江の7大水系があるが、広い範囲に渡り、深刻な水質汚染が見られる。中国政府が最初に取り組んだ流域単位の水質汚染処理の対象が淮河であった。本論文は中国の水系全体の汚染現状を概観した上で、淮河を中心に中国政府が行った対策の成果とその限界性の分析を試みたものである。中国政府は流域の水質汚染問題に対処するため、法体系を整備したものの、その実施において、政府の役割が突出しており、住民参加、企業の自己努力については十分にその機能が発揮されているとはいいがたい。