抄録
東京都心の街区内で形成される気温分布の特徴を調べる目的で、2002年夏季において神田、日本橋の2街区で地上気温の多地点観測をおこなった。街区内の気温は、オープンスペースの露場で測定されたAMeDAS気温よりも一日を通して高く、日中は場所による気温の違いが大きい一方、夜間になると1℃以内の差で一様に近づいた。交通量が少ない街区の中では、日向日陰の形成が日中の気温分布の非一様性化に深く関わっていた。一方で、観測街区を取り囲む幹線道路沿いの気温は、平日には街区平均気温よりも昼夜問わず高くなっており、交通量が多いことに伴う自動車排熱の影響を強く受けていることが、日本橋街区を対象とした主成分分析より示唆された。