抄録
登山道沿いの植生の荒廃、登山道の浸食および対策としての整備が自然環境や山岳景観に不適切とされ、社会問題化している。本研究は、対策として環境省が示した案を事例に、理念と計画レベルを主眼に問題点を指摘し改善策について提起した。環境省案の中で、論理的合理性に欠け改善が必要な点として、登山道の考え方、荒廃する登山道の原因と対処、登山道の整備水準、登山道のレベル区分を指摘した。対案として、問題点を踏まえ、場の目標設定を通じた保全水準と整備水準の関係を指標によって明確化し、荒廃の分布に対応した登山道のレベル区分と、荒廃の程度に対応した荒廃プロセスに着目し技術的問題に絞り込んで維持管理手法の構築を提案した。