抄録
本研究は、戦後の高度経済成長期において発生した産業公害を防止するため、住宅・市街地と工場地域との間に緩衝緑地を整備してきた共同福利施設事業を対象として、緑地整備における意義と役割について事業制度面及び事業効果面から検証しようとするものである。本稿では、主として事業制度の側面から共同福利施設建設譲渡事業創設の社会背景を踏まえた事業制度の特性を、国からの補助金等の財政支援措置について整理し、事業効果の早期発現について、事業期間を同等規模の都市公園事業と対比した結果、平均事業期間は5年未満で都市公園事業の約1/3で竣工していることが明らかとなった。