p. 393-398
現地試験区を設定して施肥試験を実施し、全層施肥と表面施肥が中型土壌動物の多様性に及ぼす影響についての評価を試みた。多様度の評価にはSimpsonの多様度指数の逆数1/λおよびFisherの多様度指数αを用いた。サンプル中に含まれる土壌生物的要素は季節変動の影響が大きく、土壌動物の個体数・種数・多様度と土壌温度・含水比との関連性は明確でなかった。個体群の種数と個体数との間に対数級数則が成り立つ場合に個体群の自然度は高いと仮定し、施肥管理による土壌生物相への影響について検討した結果、表面施肥と比較して、全層施肥の場合に対数級数則に近づく傾向がみられた。このことから土壌中の中型土壌動物の個体群は全層施肥において自然状態に近いと考察できた。