緑地保全のための環境社会配慮の観点から、本研究では、鎌倉市の広町緑地の運動事例を対象に、住民と大規模緑地との関係及びその変容の把握を目的とした。その結果、1)運動事前期にあった生業の場としての関係は、1965年頃以降一部を残して消滅し、緑地は荒廃した。2)保全運動期には、新興住宅地の住民が運動の一環として緑地に入り、保全運動の対象としての関係が成立した。3)同期末には現場活動の組織化と多様化がみられ、保全運動の場としての関係に変容した。4)都市林計画期には、活動の場としての関係を成立させる人々の拡大、組織間の調整・連携がみられ、組織化を促す計画システムの設計次第で緑地との関係が変化し得ることが示唆された。