「身近な生きもの調査(環境省、2001)」によって全国から収集されたタンポポについて解析した結果から、形態的にセイヨウタンポポと見なされる個体の85%が、セイヨウタンポポと日本産タンポポの間で形成された雑種であることが知られている。本研究では環境指標としてのタンポポ属植物の位置づけを再検討する観点から、関東平野から採集された雑種性タンポポ(4倍体雑種および3倍体雑種)を対象として、雑種個体を遺伝的に識別し、得られたクローンの分布様式を検討した。その結果、関東平野のタンポポの43%を占める4倍体雑種の93%が遺伝的に同一な遺伝子型を持つクローンから構成され、それらの分布域が関東平野全域に及んでいることが示された。